神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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【特別養護老人ホーム ときわの杜 施設見学レポート】 -「入居者の向精神薬使用ゼロ」を目指す取り組みを学ぶ-後編

 

 

入居者さんの「向精神薬(睡眠剤抗不安薬抗精神病薬)の使用ゼロをめざす」という方針を打ち出している、「特別養護老人ホーム ときわの杜」。報告の続きです。


ときわの杜
http://www.daisen.or.jp/ ※看護師さん募集中です!!

施設長 奥山さんまでご連絡ください☆

043-485-3711

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【 減薬に理解のある医師を探したことが、大きな一歩に 】


施設の方針を明確にし、入居者さんの減断薬をすすめるため、施設長の奥山さんは、職員全員との個別面談のほかに、方針に賛同してくれる嘱託医を探し出し、理解ある漢方医に変えました。やはり医師のバックアップは大きかったそうです。

 


嘱託医が積極的に減薬に取り組み、奥山さんも入居者さんの処方を見て「先生、この薬減らせませんか」と働きかけたり、現場の職員さんにそのかたの生活の様子を聞きながら、この薬を減らしたらどんな状況になるかな、抜けきるまでは我慢も必要、などと相談しつつ、慎重に減断薬を行っていったそうです。

 


現場では入居者さんひとりひとりについて、「減薬評価表」という書類を書いています。どの薬をどれだけ減らしたら、状態がどう変化したか、などを、介護の立場から判断し、職員で情報共有しています。記録に残すことで、向精神薬を飲んでいた時と、減らし止めていった過程の様子がより記録としても明確になりました。

 


そして、減断薬された入居者さんは、夜も睡眠薬などなくても眠れる方がほとんだとわかりました。寝ない日があったとしても、それは起きていればよいのだ、と認識が変わりました。

 


みなさん穏やかに、元気になっていったとのこと。眠れないからと睡眠薬などが処方されていたのに、止めてからのほうが元気になるということが目に見えて明らかとなり、奥山さんも職員さんたちも、減断薬を含む介護や生活のサポートに自信がもてるようになったそうです。

 

【 実績を積み重ねて、見えてきたこと 】

 


入居者さんの向精神薬を減断薬していくと、離脱症状と思われる不安定さや、薬を減らすことへのご本人の心理的不安はあるものの、それが何年も離脱症状や後遺症などが続くということはなく、割と早いペースで薬が抜けていく印象があるそうです。

 


これは高齢者の代謝など人体の仕組みなのか、離脱症状などのつらさを感じることが、年齢や認知症状とともにいい意味で鈍くなるのか、はたまた特養という施設が、刺激や変化の少ない環境だから減薬に適しているのか、そのすべてが理由なのか、詳細はわからないそうです。いずれにしても、施設長と嘱託医と現場職員が協力し合って減断薬に取り組めるチームワークは素晴らしいです。

 

 

【 減薬すると同時に、栄養面や環境整備にも取り組む 】

 


お話を聞いていて特に感じたのは、ときわの杜がやみくもに薬を否定し強引な減断薬をしているわけではなく、利用者さんを思い慎重に、でも確信を持って取り組んでおられることです。

 


薬のことだけでなく食事や栄養面、施設環境などにも丁寧に配慮されています。結果として、その後の入居者さんの良い状態やご家族の評価が、近隣にも伝わっているようです。だからこそ、紹介したい、という関係者が増えていったのでしょう。

 


今後もときわの杜では、薬の使用を最小限にするべく、取り組んで行くとのこと。
向精神薬だけでなく、内科や整形外科の薬などについても、じっくりとひとりひとりの処方を見直していきたいと話す奥山さん。施設内も見学させていただきましたが、ユニットごとの特徴を生かしたあたたかい雰囲気と、笑顔が耐えない入居者さんたち。そして生き生きと勤務される職員のみなさんの姿が、印象的でした。

 


奥山さん「減断薬をすることによって入居者さんたちが元気になっていく姿を見られることが嬉しい。現場職員の業務も余裕ができ、一緒に穏やかに過ごす時間が増えて、職員も入居者さんも笑顔が多くなりました。」

 


ときわの杜の取り組みは、まだ始まったばかり。今後も、入居者さんのことを第一に考え、試行錯誤しながら、施設としての目標、「その方が持っている力(意欲や能力)を最大限に引き出し、可能な限り自然な状態で、いきいきとその方らしく暮らしていただくこと」を目指して行くそうです。

 


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訪問取材をさせていただいて、私たちは「本来の高齢者施設の在り方」を見せて頂いたと思いました。

 


ここには書けない、大変なご苦労もされながら、それでも奥山さんの入居者さんを思う気持ちの強さが、心折れることなく粘り強く周囲を巻き込み、ここまでの取り組みを確立させたのだと思います。ときわの杜での取り組みは、ぜひ全国の高齢者施設や関係職員が学び、取り入れて欲しいと感じました。

 


現在、ときわの杜では、看護師さんを募集しています。


向精神薬使用ゼロを目指す」

という施設方針に賛同してくださる看護師のかたは、ぜひお問合せください。


ときわの杜 施設長 奥山さんまで
電話:043-485-3711
http://www.daisen.or.jp/

 


オルかなでは、いつか奥山さんを、勉強会にお呼びしたいと思っています。
その際にはまたこちらで告知いたします。お楽しみに!!


奥山さん、ときわの杜のみなさま、ありがとうございました。

 

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(写真は、施設内ロビーの様子です。)

 


2016年1月31日
報告:オルかな 三橋淳子