神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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7月17日開催・サードオピニオン会IN二俣川のご報告

 去る7月17日(日)、【オルかな】主催のサードオピニオン会IN二俣川
開催されました。当日の会の様子をご紹介します。
 MCは中川聡(全国オルタナティブ協議会代表)。参加者としては初参加の方1名
を含む9名の方をお迎えすることができました。
 例によって冒頭で中川がオルタナティブと関わりのある当事者の近況を報告。
数年前の全国大会で家庭内での虐待の経験を発表していただいた20代男性が
最近になって断薬に成功、生活保護から抜け出して福祉のヘルパーとして活躍している
事例を挙げ、支援される側から支援する側に回ることが当事者の快復を著しく促すことを
強調しました。

会場での発言(大意)から:
福祉施設で職員をしているが、利用者さんが若い私の言うことは聞いてくれない。
彼らがどうしたら自発的に動いてくれるか考えている。
・老人ホームで介護の仕事をしている。ふだんあまり口を利かないために認知症だと
思われている入居者の方が、夜勤の時に伺うと50年前のことや夫婦仲のことなどを
お話になる。
・行きすぎた役割分担・・・医療や福祉の現場では職員は職域・職責を守ることが
求められ、それを超えるその職員なりの「工夫」が評価されない雰囲気がある。
・入院中の患者さんの退院支援として一人暮らしのためのアパートを一緒に探し、
本人も当初は「これで親から離れられる」と喜んでいたが現実には退院から数日後に
再入院に。本人の真意は実は違うところにあった。
・支援の暴力・・・支援者が良かれと思ってしたことでも当事者の利益につながる
とは限らない。支援者は当事者の事情や希望を丁寧にアセスメントする必要がある。
・他団体で心理士、ジャーナリストの方々と発達障害「治療」について対談したが、
前提となる認識の隔たり(統合失調症は不治の病と信じているなど)を感じた。
学習障害のある大学生の支援についての話を聞いたが、そうした学生は
服用中の何らかの向精神薬によって抗コリン作用が生じていると言うことでは。
・服薬中の人にとって圧倒的に害が大きいのは薬なので、
服薬を続けながらの栄養療法はナンセンス。
・仕事続けながら減断薬するのは無理、休職でもした方がいい。

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 今回の参加者の言にもありましたが、精神医療、薬、ひいては現代医療一般の
問題を追求する人々が必ずといっていいほど直面する壁が、素朴なまでに
精神医療を含む現代医療、そしてその背景にある科学の研究成果
(とされているもの)を信じる一般の人々との著しい認識の隔たりでしょう。
 前提となる認識が大きく異なるために議論が噛み合わなかったり、
衝突を起こしたり・・・そうした経験を重ねた人々が藁にすがるように
辿り着くのがサードオピニオン会であるとも言えるでしょう。

医療信仰の人々の根底にあるのは、

科学の世界にはその研究成果の「正しさ(厳密性・客観性)」
を保証する仕組みが備わっており、
不正や誤りは仮に存在したとしても自動的に検出・修正されるようになっている。

・・・というイメージはないでしょうか。
 科学者に対しストイックな求道者のごとき人物像を想定する向きもありがちです。
 仮にそうであれば良いのですが、残念ながら現実の科学研究の世界は
全くといっていいほどそのようなものではありません。
 下記で紹介している『背信の科学者たち』は1982年に米国で出版された
”BETRAYERS OF THE TRUTH”の翻訳で、初版は1988年。
その後長らく絶版となっていましたが2014年、STAP細胞事件を契機に
復刊となったものです。
 冒頭で取り上げられている事例は名門ハーバード大学で指導的地位につく医学者
の下で次々と画期的な論文を発表し続けていた気鋭の若手研究者が、実はデータ捏造の
常習犯だった・・・というもので、まさしくSTAP細胞事件を彷彿とさせます。
 本書では他にも古代から中世を経て現代に至るまでのさまざまな科学における
不正の例を紹介しており、読み進めていけば我々が精神医療の世界で見てきたような
実態は、実は科学の世界において決して特殊なケースではないことがわかります。

 原著の出版から今年で40年になりますが、本書で指摘されている
科学界の構造的問題は現代もなお未解決であるどころか、不正の規模や
その社会的影響の深刻さはむしろエスカレートしているのではないでしょうか。
 そしてそれ以上に絶望的なのは、多くの人々がそうした現実に気がつくこと
もなく、無邪気に科学の研究成果(とされているもの)を信じこみ、
あまつさえ真実を告発している側に矛先を向けていることでしょう。

【書籍紹介】
背信の科学者たち


次回のサードオピニオン会IN二俣川は8月21日(日)に開催を予定しております。
詳細および参加のお申し込みはこちらからお願いします。
(オルかな事務局 黒柳)