神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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4月9日㈰開催・サードオピニオン会in大和のご報告

去る4月9日㈰に実施された、【オルかな】主催のサードオピニオン会in大和の様子を
ご報告します。今回はいつもの二俣川の会場が使用できなかったため、代表の三橋淳子が
就労移行支援で関わっているミライてらす大和の教室を会場としてお借りして実施する
運びとなりました(5月からは普段通り二俣川の会場で開催します)。

冒頭、MCの中川聡(全国オルタナティブ協議会代表)が
統合失調症薬物治療ガイド2022―患者と支援者のために―」についてコメント。
治療の主役は患者本人であり、支援者や主治医はサポート役であるという主旨には
賛同するものの、あくまで薬物治療を前提としていることや精神医療について性善説

であることを批判、特にクロザリルやECTの推奨は許せない、と述べました。
また、自らが同ガイドを精神科病院への診察同行の際に持っていった体験を披露。
結果は2ヶ所では捨てられ、もう2ヶ所では知っていますと言われた上で無視された
とのこと。支援者がこういうもの持ってくるとあちらは腹を立てるようだと話しました。

会場での発言から(大意):
・あなたのやってることは反精神医療だ、と言われるけれど、
反精神医療ですよ。日本の現状を考えたら必然的にそうなります。
・堀合研二郎さん(当事者活動家)が選挙に出馬するので応援に行ってきます。
・栄養療法の何万円もするサプリなんて買ってる場合じゃない、
サプリなんてドンキで買えばいい。
・幻視で人が大きく見えたり小さく見えたりした。
・日本の医療は、外科は必要な存在だが内科系や精神科は殆どいらないのではないか。
・自分の場合、メンタルの問題は医療ではなく職場環境の問題だった。
坂本龍一、がんで死去・・・治療が死因だったのでは?
精神科病院への入院は1人あたり1日でスーパー救急なら500万円、
医療保護入院で300万円が病院の収入になる。病院の飯の種になっている。
・支援していた30代の女性が断薬を経て最近結婚し、今は妊娠中です。
ジプレキサは服用していると一番働けなくなる薬。
・悩める健康人が病気ということにされている。
・多くの当事者は精神疾患の患者ではなく、処方薬で薬物中毒になっている人

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かつて、自らが乳癌であることを公表し、米国NY市に移住してその治療の経過や
治療中の生活、仕事のことなどのレポートを亡くなる直前まで発表し続けた
ジャーナリストが存在しました。
『ニューヨークでがんと生きる』などの著作で知られる千葉敦子(1987年没)です。
彼女の最後の著作からの引用を紹介します。
「死への準備」日記』(千葉敦子)より************************************************************************************
・・・ここまでの電話の会話はよかった。しかし、そのあとがよくない。
私の転移癌に対して、これぞという治療法はもはやなく、まだ治療は何も始めて
いないのだ、と話すと、母は、
「あなたは怒るけれど、もう助からないといわれた患者が、大阪で......」
と言い出したので、私は出ない声をふり絞ってさえぎらなければならなかった。
「世界中で最も優れた癌専門病院で、最高の医療陣の意見を聞いているんだから、
つまらない資料なんか絶対に送ってこないでよ!」
怒鳴りたいのに、声が出ないため怒鳴れないのにも腹が立つ。
母は高等教育を受けていないこともあり、世の「民間療法」「食事療法」
その他のにせ療法のえじきになりやすい。
私は非科学的、非論理的なことをいう人には我慢がならない。
とくに、それが身内の者であれば、愛しているだけに、怒りも激しくなる。
母の頭の悪さに手を焼いた亡父から私はそっくりそのまま、
この点を受け継いでいるいしい。
しかし、考えてみれば、こういう発想をするのは、母ばかりではないのだ。
高等教育を受けた人でさえ、
「いいといわれているものは、なんでもやってみたら?」
「うちの父には効いたみたいだよ」
などというのだから、呆れてしまう。
たまたま、だれかの症状が 一時的に少しよくなったからといって、
それが癌の種類も違えば病歴も違う私に効くという保証は 何もない。
どうして、そんな危険なものを私に勧めることができるのだろう。*********************************************************************************

医療信仰の人の思考回路がよくわかる文章です。
千葉敦子は彼女が言うところの「世界中で最も優れた癌専門病院」の
「最高の医療陣」による抗癌剤治療を信じて受け続け、47歳の若さで亡くなりました。

それでは、抗癌剤とは実際のところどのようなものなのでしょうか?
癌の臨床医たちは、本音ではどう考えているのでしょうか?
がん 生と死の謎に挑む』(立花隆NHKスペシャル取材班)から引用します。***************************************************************************************
・・・再び近藤理論と出あったのは、僕自身ががんになって、
「患者の立場から語ってくれ」と、がん関係のシンポジウムに招かれたときのことです。
それは朝日新聞の主催で開かれた、一般市民向けの大きなシンポジウムでした。
僕以外の演者はすべて、大学や大病院、がんセンターなどのそうそうたるがんの
有名臨床医たちでした。昼休みだったと思いますが、控え室でみなが雑談的にいろんな話
をしているときのことです。いつのまにか話題が抗がん剤の話になっていきました。
抗がん剤がどれほど効かないかという話を一人がしだすとみんな具体的な抗がん剤
名前を出して、次から次にそれがどれほど効かないかを競争のように話しはじめました。
「結局、抗がん剤で治るがんなんて、実際にはありゃせんのですよ」と、
議論をまとめるように大御所の先生がいうと、みなその通りという表情でうなずきました。
僕はそれまで、効く抗がん剤が少しはあるだろうと思っていたので、
「えー、そうなんですか?それじゃ『患者よ、がんと闘うな』で近藤誠さんがいっていた
ことが正しかったということになるじゃありませんか」といいました。
すると、大御所の先生があっさり、「そうですよ。そんなことみんな知ってますよ」
といいました。僕はそれまで、近藤さんが臨床医たちから強いバッシングを受けていた
時代の記憶が強く残っていて、近藤理論は、臨床医たちからもっとネガティブな評価を
受けているとばかり思っていたので、これにはびっくりしました。
誰か異論を唱えるかと思ってしばらく待ちましたが、誰も唱えませんでした。
あ、近藤理論は基本的に正しいのだと、認識が大きく変わったのは、あの瞬間でした。

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そして、本ブログでは3度目の紹介となりますが、
薬害はなぜなくならないか―薬の安全のために―』(浜六郎)から。

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・・・癌の患者さんに一時的に抗癌剤あるいはその効果を強め
る薬をつかうとすれば、その真の目的は、寿命が延長することにある。
できれば、元気に動ける状態で寿命が延長することである。
これが真の目標 (最終目標)である。しかし、この目的が達成できているかは、
ほとんどの場合、判定されていない。
抗癌剤が国から許可される際にも、「腫瘍が一時的に縮小すること」が
確かめられていればそれですむ (じつはこれさえあやしい場合もある)。
ふつう腫瘍がもとの半分以下になると、抗癌剤に「反応した」としている。
日本ではこれを「奏効した」といっているためか、これが確かめられると
抗癌剤の効果が証明されたかのように錯覚する人が多いが、これはあくまでも、
とりあえずの反応をみただけなのである。
すなわち、仮の目標を満たすものでしかない。
たしかに、一時的に癌が小さくなり消えた人で長生きする人はある。
しかし、癌が小さくなったり、 消えてなくなる人が多少いても、
患者さん全体としては寿命が縮まってしまうことは多い。
「癌はなくなったが、患者は死んだ」ではなんにもならない。
(中略)
患者さんをまえにして、抗癌剤の説明をする場合に「癌は一時的に小さくはなりますが、
寿命は縮まりますよ。いいですか」といったら、その治療を「してほしい」と
申し出る人はあるだろうか。

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今回のサードオピニオン会で、音楽家坂本龍一の死が話題に登りました。
2020年に癌が見つかり、手術や抗癌剤などの治療を受け続けていた坂本龍一は、
今年3月に亡くなりました(享年71歳)。

ここで上に紹介した3つの引用文をお読みになってみて、いかがでしょうか。
癌患者の訃報を耳目にするたびに我々が感じる、
治療しているのになぜ、症状が悪化していくのか?
そして、平均寿命よりはるかに早く亡くなってしまうのか?
・・・という素朴な疑問の答えが、ここにあるのではないでしょうか。

癌の化学療法(抗癌剤による治療)は、精神疾患の薬物治療と並んで
「現代の瀉血」とも言われます。
まったく治療の実績がないにもかかわらず、なぜか信奉されており、
数多くの犠牲者を出し続けながらも歯止めがかからない点が共通します。

瀉血が廃れていくきっかけとなったのは、米国初代大統領ワシントンが
肺炎で亡くなった際、その治療として行われた瀉血が死因だったのでは?
という疑問の声が挙がったことだとされます。

坂本龍一という偉大な音楽家を失った今回も、その本当の死因について検証する
議論があってもよいのではないでしょうか。

千葉敦子が癌治療を受けていた1980年代には、一般市民が医薬品についての情報を
入手することが困難でした。しかし、現代は誰もが医薬品の添付文書を閲覧できる時代です。
坂本龍一に「進言」する周囲の人はいなかったのか?と悔やまれてなりません。

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次回の【オルかな】主催サードオピニオン会は会場を二俣川に戻し、
5月21日㈰に開催します。詳細および参加のお申込みについては下記リンク先を
ご覧ください。


www.kokuchpro.com
(オルかな事務局 黒柳)