神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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4月10日開催・サードオピニオン会IN二俣川のご報告

4月10日㈰に開催された【オルかな】主催・サードオピニオン会IN二俣川の報告です。
前回から3週間後の開催ということもあってか、引き続いて参加された方が目立ちました。
MCはおなじみ全国オルタナティブ協議会代表の中川聡
中川からは沖縄が舞台の映画『夜明け前のうた』について触れ私宅監置より精神科病院
のほうが人道的だ、などとする言説や戦前の日本で精神科病院設置を推進した呉秀三
もてはやす風潮を批判。
また、大阪で野田正彰先生の診察会を月に1回開催することになったこと、個別相談を
受けている方々の事例について報告しました。

それでは、参加者の発言から主なもの(大意)を紹介します。

・精神病を「予防」するという話について―「精神病」という言葉自体は概念。
実体がないものをどのように「予防」するのか。
・「予防」のために投薬する??
奄美大島など、島嶼部の精神科病院には社会的入院の患者が多い。
・当事者の「暴言」の中身を聞いてあげることが大切。
・世間体を気にしている家族から介入を拒まれる
・精神科は依存症の治療施設が一番まとも。
しかし、依存症治療の第一人者は処方薬依存を認めてない。
・クライシスセンターを作りたい、まずは拠点の確保から
・既存のものを批判して自分たちでやります、というと潰されるので
現役の人たちを巻き込んでいく形がいい。
・当事者にとっては話し相手は年齢が離れていたほうがいい、同世代だと
比較してしまう。
・精神科病棟や高齢者施設では服薬の強制が当たり前に行われているが、
誰もそれを疑うことがない。
・退院する患者に「必ず薬を飲んでくださいね」
「飲まないとまたここに来ることになりますよ」などと声掛けしている。
・病棟看護師としてそうした状況に異議をのべていた時期もあったが、
どうにもならなかった。
・とある精神科病院は病床の75%が埋っていても赤字―
何で儲けているのかというと訪問看護だという。
・系列のグループホーム入居者全員訪問診療受けている。
・子どもが暴言を吐く時、だいたい母親が地雷踏んでる、余計なことしている。
暴言の中身をよく聞くと「ほっといてくれ」と言っている。
・薬の副作用をすべて病気の症状としてとらえる―日本型精神医療の宿痾。
・精神医療の実態は霊感商法に近いのではないか。
精神科医に罪悪感はないのだろうか―消している、見ないようにしている。

(参考)
○映画『夜明け前のうた〜消された沖縄の障害者〜』

yoake-uta.com
○精神病を偽造する医師たち 薬づけで人生を奪われる人々~反省なき精神衛生教育【下】
幻の病気を「予防」するのか?(野田正彰先生の論考)

webronza.asahi.com

今回の会で「精神病」という言葉は概念であり実体を指しているわけではないという
指摘があり、また精神医療を霊感商法に例えた方もおられました。

実のところ、精神医学は「科学」と言えるでしょうか?
これはサードオピニオン会に集う方々なら一度は抱いたことのある
疑問でしょう。

一般にはあまり馴染みがないかもしれませんが、
「科学哲学」という、歴史あるひとつのジャンルが存在します。
科学哲学の世界では「科学と似非科学をどのように区別するか」
という「線引き問題」が古くからの主要なテーマであり、
これについては様々な議論の蓄積があります。

カール・ポパーが提唱した「反証可能性」を基準とする説がその一つです。

ja.wikipedia.org

ここではその詳細には立ち入りませんが、
こうした知見がある以上、それを活用して単に慣習的に
「科学的である」とされている言説について、
その内容そのもの・論理的構造に基づいて
本当に「科学」の資格を有しているのか、それとも「似非科学」に
過ぎないのかを検証してゆく必要があるのではないでしょうか。

精神医学分野に限らず、「科学的である」とされている、
そのように思われている言説は単に慣習的に
そのように扱われているに過ぎなかったり、
「専門家(であるとされる人物)」がそう言っているから・・・という
発言者の権威性に依拠しているケースが少なくないと思われます。
日本社会は特にその傾向が強いのではないでしょうか。

科学ではないものに科学としての「認証」「権威」を与えた結果、
どのようなことが起こるのか―我々はすでに知っています。
これ以上、甚大な被害を出しながらこの「社会実験」を続けるわけには行きません。
そろそろ「科学」とそうでないものをどのように峻別するか、
「科学的である」という認証の手続きはどうあるべきかを正面から
議論すべきときが来ているように思われます。
(オルかな事務局 黒柳)