神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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2月14日(月曜日)サードオピニオン会IN二俣川のご報告 

 去る2月14日(月曜日)13:00〜16:00に開催された
サードオピニオン会IN二俣川の様子をご報告します。
 主催は【オルかな】、会場は二俣川地域ケアプラザ。
 会のMCは中川聡(全国オルタナティブ協議会代表)が務めました。

 今回は参加者が少なく、関係者の内輪のミーティングといった趣でした。
そのためか後半は中川聡が執筆した『減断薬読本』の改訂版について
中川が提案、意見を募るなどオルタナティブ協議会の今後についての議論が
中心となりました。
 会の途中には中川の携帯に埼玉県内の精神科病院の病棟内から退院への協力を
要請する電話があり、それに対して中川が埼玉県精神医療人権センターを
紹介するという一幕もありました。

それでは、参加者の発言(大意)から・・・

・最近直接関わったケースから、やはり人薬(ひとぐすり)は効くな、と。
・人薬がちゃんとしていれば減薬もうまくいく
・母親が「(息子が)暴言を吐いた」「(薬の)頓服!頓服!」といって騒ぐ。
・その息子の話を聞いてみたら別に暴言ではない、話が伝わらないから
(母親が話を聞かないから)大声になってしまうだけ。
・当事者に対する関わり方にはトレーニングが必要。
そのための知識を共有できたら・・・。
・助けてあげたい病の人は1対1でやろうとするが、
組織的にチームで対応したほうがいいのでは
・高校生にメンタルヘルスの授業で統合失調症とは何かを教える?
・「服薬しながら」「医者の言う通りに」と言うカウンセラーの問題
発達障害なのに「一生薬飲まなければいけない」と言われたり、
発達障害の薬に加えてエビリファイジプレキサを出されていたりと
おかしな処方がまかり通っている。
・精神医療をめぐる「自己決定権より生存権」という論理のおかしさ
・(減断薬読本の改訂について)初版は2700部を売った。
・改訂版では薬局で渡される「お薬手帳」のようなつまらないものではなく、
当事者にとって役に立つ、薬のネガティブ面にも言及した資料を追加したい。
・日本は薬を併用している事が多いので、表に出ている症状が
純粋な「その薬」の副作用とは限らない。
アカシジア(静座不能症、向精神薬の一般的な副作用)について、
おそらく世界で初めて描写した当事者による漫画がある。
・TDM(治療薬物モニタリング)・・・制度があるのに使っていない、
血中濃度を測定した上での投薬をすべき。
・表向きの病名とは別の「保険病名」がある・・・エビリファイ
出したいから書類上統合失調症という病名がついている。
・病名は自分を定義するには便利。
・入院という形をとらざるをえないケースはある。
その意味では精神科病院全否定ではない。
・服薬10年、20年。人生にぽっかり穴があいている。
ベンゾジアゼピン系薬剤は効きがいいので
人と合う前に1錠、外出する前に1錠という感じで飲んでしまう。
うつ病治療ガイドラインでは薬は第2選択肢、となっている。
発達障害治療薬は覚醒剤。服用していると子どもは「成長遅延」に。
・人薬、時間薬こそがリカバリーを促す。
・当事者と支援者は固定された役割ではなく支援したり、されたり
という相互支援の関係にある
・支援の現場で働く人の多くはリカバリーの理屈はわかっているが、 
実践する段になるとやっぱりずれる。医療信仰が壁になる。

 毎回サードオピニオン会のことを振り返るたびに、
市民科学(citizen science)の実践とは、こういうことなのかもしれない・・・
という感慨を覚えます。
 筆者の記憶では、日本では「市民科学(者)」という言葉や概念は
原発運動で知られた故・高木仁三郎氏が広めたものという
印象があります。
 エネルギーや環境の問題では、職業的専門家ではない市民や
マチュア研究者が問題解決に向けたアクションを起こすことは
(この日本においてさえ)いまや普通の自然なこととして
受け入れられている感があります。
 しかし、残念ながら医療の問題となると現在でも日本では
専門家信仰が根強い。それはリベラルや人権派の人々において
さえもです。
 ただ、【オルかな】がスタートした2014年当時に比べれば、
2022年の現在では潮目が変わりつつあるのも確かでしょう。
 市民による地道で着実な活動の積み重ねは、いずれ日本人の
医療信仰を変えていくに違いありません。

(参考1)
○埼玉県精神医療人権センター
相談の連絡先(いずれも無料)
電話:050-6872-4361(毎週土曜日13時〜16時)
メール:saitamaseisin.jinken@gmail.com
手紙:〒330-0055
さいたま市浦和区高砂町11−1
コムナーレ9階B-23

(参考2)
アカシジアの様子を描写した、おそらく世界初の漫画
『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~』(橘ちなつ著)

comic.k-manga.jp

来月のサードオピニオン会IN二俣川は3月20日(日曜日)、21日(月曜日)
の開催予定です。詳細及びお申込みについては下記リンクをご覧ください。
3月20日開催
3月21日開催

※すでにお知らせしておりますが、
今回ご報告した平日開催のサードオピニオン会IN二俣川
5月分の開催をもって終了させていただきます。
6月以降は日曜日開催のサードオピニオン会IN二俣川
ご参加ください。

(オルかな事務局 黒柳)