神奈川オルタナティブ協議会  【オルかな】公式ブログ

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2月12日実施・サードオピニオン会in二俣川のご報告

去る2月12日㈰、【オルかな】主催で恒例のサードオピニオン会in二俣川
開催されました。当日の会の様子をご報告します。
前回(1月15日開催)は講演のため欠席した中川聡(全国オルタナティブ協議会)が
MCとして復帰。おなじみの顔ぶれに家族会の方、取材に来られた漫画家の方など、
総勢13名の方々にご参加いただくことができました。
冒頭で中川が最近、九州に減薬が難航している当事者の相談に行ってきたこと、
名古屋クラブハウスの物件の引き渡し日程が決まり、開業に向けて動き出したこと、
とある精神科病院に入院中の当事者の、退院をめぐる交渉に家族とともに参加してきた
ことなどを報告。他には参考資料として「抗精神病薬のプロフィール」、
論文『イーストロンドンのコミュニティ・メンタルヘルス・ケア』
(大西 香代子、三重看護学誌12巻)を紹介しました。

それでは、参加者の会場での発言から主なものを紹介します(大意):
・精神科の診察に第3者が同行支援することは非常に効果的。
・(精神科医の対応が)ぜんぜん違いますよ、第3者が行くと。
・当事者が入居しているアパートの大家のおばあさんが診察同行して
「いつ治してくれるんですか?」と精神科医に迫っている。
・クロザピンか電気ショック治療が受け入れられないなら退院を、
と言っていた精神科病院の医師が一転して退院しないでほしいと言い出すので
理由を聞いたら「他の人が退院したから」。今度はベッドが空くのがイヤだと。
・本来、薬の処方権は薬剤師が持つはずだった。
ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性の問題、英国では50年前に結論出ている。
向精神薬は常用していると脳の萎縮を引き起こす。早くから認知に問題が生じる。
・ヘルパーと医者の給料は逆転すればいい。
・コロナワクチン、有害事象の話を聞いてからそれ以上打つのは止めた。
・依存性が問題とされたリタリンは販売中止となったが、コンサータという名で復活
してしまった(徐放剤が添加されているものの薬効成分は同一)。
生活保護費の半分は医療費に消えている。
・デタラメな処方をしている精神科医に減薬指導を依頼しても、
論理的な減薬ができるとは思えない。
・「不治の病」が増えている。双極性障害がいつの間にかそのように言われるようになり、
最近では糖尿病もそれに近い扱いになっている。
・日本では抗うつ剤はじめ合法的な処方薬で数十万人が犠牲になっている。
・漫画は生活保護ケースワーカーが当事者と組織の間で板挟みになって葛藤、
という感じで描いている。
・一般のソーシャルワーカーやカウンセラーは当事者をすぐ精神医療につなぐが、
それは本当の問題を棚上げにすることに他ならないのでは。
・政府はバカなことにばかり金使ってものづくりもダメになって・・・ため息が出るよね。


前回の報告でも紹介した『薬害はなぜなくならないか―薬の安全のために―』ですが、
著者の浜六郎医師は薬害事件がなぜ繰り返し起きるのか、その背景にある
社会の構造について、同書の中で「薬害を生む構造=利益を生む構造」と題して
下記のように整理しています。
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有害か危険、あるいは無効な物質を、有用かつ高価な薬として評価、承認、販売すること
によって製薬企業にもたらされる高収益は、潤沢な資金を生む。
この潤沢な資金は、業 (製薬会社)はもちろん、政 (政治献金など 「表の金」、そして・・・)
・官 (天下り)・学(研究資金、退官後ポストなど)に大きな利益をもたらす。
その結果、有害、危険、あるいは無効な物質が 「有用な薬」「高価な薬」として
販売され、多用されるようになる。
業・ 政 ・官 ・学のこのような相互依存や、密接な関係を維持する構造、
これがすなわち利益を守る構造、つまり 「癒着」という言葉のもつ意味だ。******************************************************************************

そして、「欧米では、このような構造を 「シンジケート」とよんでいる。」とし、
ドイツの医療雑誌編集者であるクルト・ブリューヒェルの著作
『Das Medizin- Syndikat(医学シンジケート)』(未邦訳)からの引用を紹介しています。
(本稿では訳文はハンス・リューシュ『世界医薬産業の犯罪』から引用。)

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最近の辞書によれば 「シンジケート」という語には、
主に次のふたつの定義が与えられている。
1.独自の法体系と行政機能をもつビジネス団体。カルテルの、より結束の強い形式。
2.アメリカにおいては、合法的企業体の仮面に隠れた犯罪組織。
すぐお分かりになるように、このふたつのタイプの 「シンジケート」は、
本質的にはまったく同じものである。そして我が国の医学界組織のあり方は、
この 「シンジケート」という語によって定義されるにふさわしいものだろう。

商業的な面から見たシンジケートの特徴を挙げてみる。
1.ある特定の品物やサービスの独占。すなわちそのタイプの品物やサービスを必要とする
人は、シンジケートからしかそれを得られない。そこでシンジケートの力は無限に巨大化し、市場や社会に脅しをかけるのが可能となる。
2.シンジケートの存続のための厳しい内部規制。
各メンバーはその規制への絶対服従を要求される。
逸脱は、シンジケートの基盤―すなわち独占体制―を揺るがすものとして、
すべて厳しく罰せられる。
3.シンジケートの収益の最良の部分は、シンジケート内外の政策を 一手に握っている
少数の指導者のものとなる。シンジケート内の 一般メンバーにも、
国民の平均をかなり上回る収入は約束されているが、莫大な収入を得るのは、
わずかな人数の上層部の人々に限られる。

さらにブリューヒェルによれば、 一般に、シンジケート内の法体系と国の法体系とは
衝突する場合が多いという。そのため、シンジケートは秘密結社のごとき様相を呈し、
自らをその国の法の枠外にある―あるいは法の上位にあると言った方が
よいかもしれないが―とみなすのだという。
ともかく、シンジケートは独自の法をもち、その法を情容赦なく内外に適用する。
自身の内部での反抗者との抗争、そしてシンジケートの利益の妨げとなる外部のあらゆる
人物や社会との抗争―こういった内外での絶え間ない抗争が、シンジケートの活動を
特徴づけている。
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いかがでしょうか。精神医療・向精神薬の被害に遭い、「なぜこのようなことに?」と
怒り、そして考え続けてきた皆様にとっては納得のいく説明なのではないでしょうか。
重要なことは、薬害とは「偶発的に起こる事故」などではなく構造的問題なのだと
いうことです。そうである以上、構造が変わらない限りは繰り返し起き続けます。
薬による被害を避け、問題の解決に向かうためにはそれが生み出される構造について
認識しておく必要があります。そのためにも、そうした構造に「医学シンジケート」
という言葉を付与しておくことは有用でしょう。軍事の問題について考える際の
軍産複合体」という用語に相当するかも知れません。

『薬害はなぜなくならないか―薬の安全のために―』は日本列島が薬害エイズ事件
揺れた1996年の出版ですが、薬害エイズ事件以降も、そして今この瞬間にも薬害事件は
起き続けています。問題は、そのような実態が一般の人々に認知されないことです。
同事件の責任者として訴追された安部英氏(元帝京大学副学長)は運が悪かった「小物」
に過ぎません。同氏をはるかに凌ぐ「超大物」たちが何食わぬ顔をし、大手を振って
歩いているのが日本の医療界の現実です。

【参考】
薬害はなぜなくならないか―薬の安全のために―』(浜 六郎著)


NPO法人医薬ビジランスセンター(浜 六郎医師が理事長を務めています。)

npojip.org

【第二回精神薬の薬害を考えるシンポジウム】動画
YouTubeYasuo Onoeチャンネルから。精神薬の薬害を考える会主催で2012年に開催。
当日は浜 六郎医師、中川が登壇し、三橋も会場参加していました。

第二回精神薬の薬害を考えるシンポジウム-1


www.youtube.com

第二回精神薬の薬害を考えるシンポジウム-2


www.youtube.com

第二回精神薬の薬害を考えるシンポジウム-3


www.youtube.com

第二回精神薬の薬害を考えるシンポジウム-4


www.youtube.com

(オルかな事務局 黒柳)